脳について

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2016年10月8日発行の東洋経済の特集は「最新科学でわかった脳入門」。かなり感銘を受けたので簡単にその一部を紹介します。

1 記憶の司令塔「海馬」を解明する(理研藤澤氏)

①過去・現在・未来をネズミは認識している。②休んでいるときも場所細胞が発している。③ニューロンの中に記憶痕跡がある。

2 脳機能をモデル化人口知能は進化し続ける(理研甘利氏)

①人工知能は、人間の脳の活動のメカニズムにヒントを得て、それを人工的に実現しようという試みである。②人工知能は進化続けているが、ディープラーニングが人工知能を変えた。

3 人工知能と人間の脳との境界が揺らいでいる(東大教授池谷氏)

①人工知能で脳を解析し、うつ病を治す②「人間らしさ」があいまいになっていく…人間の創造性に人工知能が近づく?バリエーションやコンビネーションを駆使し、これまで芸術家たちが手掛けてこなかった独創性の高い音楽や絵画や詩を作ることも人工知能なら可能。人間の感性の幅は狭いので、人口知能による独創的な作品を受け入れられるかどうかは別ですが。人間にしかできない「うじうじ」「イライラ」「カッとなる」感情は、人工知能にも持たせることは可能だが、不要なのできっとプログラミングされない。

4 効率的な記憶術7つのワザ(諏訪東理大教授篠原氏)

人間の能力は遺伝子の影響は大きい…IQの遺伝率約80%、運動能力80~90%、音楽能力90%。記憶力に関しては遺伝率は30~55%ほどで、学業成績や外国語能力と同じくらいある。→遺伝や家庭環境に関係なく、本人の工夫や努力次第で何とでもなる。

記憶や情報を一時的にメモし、複雑な情報処理をスムーズに行う機能はワーキングメモリと呼ばれる。この機能によって、人の話や文字情報を一時的にメモし、勉強したり、仕事をしたりできる。他人とのコミュニケーションもこのメモリのおかげである。しかし、ワーキングメモリのメモ帳の容量には限界があり、3つくらいなことは並行して処理できても、それ以上になると限界を超えてします。また、生理的な欲求によって能力が落ちる。

(1)覚えようとせず、直後に思い出す

記憶には、①覚える=記銘、②覚えておく=保持、③思い出す=想起の3つの段階がある。3つとも本来は別々の働きで、脳の中での働く部位も違っている。しかし、記憶の神経ネットワークとしては一体化して働いている。何かを覚えたいのならば、一方通行でやみくもに覚えようとせず、いったん情報を入力したら思い出す(想起)ところまでしておくことが肝要だ。(例)米ワシントン大学の実験:2つのグループに250の単語からなる文章を記憶する課題を与えた。片方のグループには、7分間記憶させ、さらに7分記憶する時間に充てた。もう一方は、7分間記憶し、7分間を覚えた文章を書き出すことに充てた。作業直後の5分後には、前者の方が成績が良かったが、2日後には後者の方が成績がよかった。脳はインプットよりもアウトプットを重視する。資格試験等の勉強でも蛍光マーカーを引くよりも読んだ直後に目をつぶって思い出す方が頭の中に定着する。

(2)覚えようとせず、すぐに使う

効率よく記憶するには、「直後に思い出す」と並んで「直後に使う」ことが大事である。事例:短い科学論文を大学生200人に5分間読んでもらった。→①そのあと何もしない②10分間何度も繰り返して読む③10分間でまとめるコンセプトマップを作る④10分間で読んだ内容に関する自由なエッセイを書く→1週間後にどれだけ記憶しているかのテストをしたところ、記憶に一番自信のないと言っていた④グループの成績が一番良かった。④のグループは、「記銘、保持、想起」のネットワークが強化されているといえる。

(3)直後のD、W、Mの復習が大事

よほどの天才でない限り、一度で覚えられない。忘れることに関しては、「エビングハウスの忘却曲線」がある。それによると、記憶後20分で42%忘れ、1時間後には56%、1日後74%、1週間後77%、1か月後では79%も忘れている。「DWM」とは、「翌日、1週間後、1か月後」という意味である。右肩下がりで落ちてゆく忘却曲線を引き上げるには効果がある。30分まとめてやるよりも15分学習したら、翌日に15分、1週間後、1か月後にと復習をするとよい。因みに米カルフォルニア大学に実験では、残り日数÷6の日に復習すると成績がよいことが分かった。

(4)不安を取り除くと脳はよく働く

実験:シカゴ大学の学生に数学のテストを受けてもらい、①成績優秀者には賞金②成績が悪ければ、連帯責任というようなプレッシャーを与えたところ、成績が12%も下がったという。試験に対する不安は、脳を活性化させないことがわかる。

(5)やる気を起こすには自分を褒める

やる気は、大脳の奥深く、大脳基底核の一部である線条体の活動に依っている。線条体は、運動のコントロールや運動開始のタイミングなどに関わっており、この線条体が活発に活動し、神経伝達物質のドーパミンがたくさん放出されると脳が活性化する。褒めることにより線条体で行動と快感が結びつく。褒めることは他人でも自分でもよい。また、やる気のスイッチは、儀式も有効である。「机を拭く」「スケジュールを読み上げる」など行動に移すことが大切である。

(6)学習は15分単位でこまめに反復

集中力は長く続かない。ゲームでも最初の15秒でピークを迎える。15分ごとに学習方法を変化させる「起承転結学習法」を勧める。はじめの15分で「何を学習するか全体を見通す」次の15分で「記憶する項目を書き出す」その次の15分で「記憶し、理解を深める」最後に「記憶し、理解を確かめる」。こまめに反復と反芻したほうがよい。

(7)徹夜はダメ、寝る前に学習する

眠りには、眼球がよく動き夢を見るレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠がある。レム睡眠時には記憶力に関する海馬の動きが活発で、眠る前に記憶したことを定着させている。記憶力強化では、学習したことを頭の中で反芻し、干渉する情報が入らないうちに眠りにつくことが望ましい。

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