認知症の時代を生きる 東京都健康長寿医療センター顧問 高橋龍太郎先生の講演より

自身の出身大学院関係の講演会があり、認知症について学んだ概略をまずは述べる。

1 現代という時代は、資源が有限であることからして地球老年期の始まりである。このことは、1953年にアーサー・C・クラーク氏がChildhood’Endにて述べている。

2 病の概念が変容している…①精神疾患の時代だと言われるが、数が増えるのみならず、中身も変わってきている。②ある行動をみて、病か、性格か、老化かボーダーラインがはっきりしないことがある。③社会が病状を作り出す。統合失調症、うつ病、認知症。※人種、年齢によって基準が違う。④症(症候群)と病…症とは、原因が不明なもの。病とは、原因がはっきりしているもの。

3 アメリカのDALLY NEWSより…President Trump exhibits classic signs of mental illness,including ‘malignant narcissism’shrinks say…アメリカのマスコミは大胆な批判をする。

4 家庭における高齢者の役割…諸外国(米、韓、独、仏)に比べ子どもの世話をする割合が少ない。役割がないのは、ヨーロッパに次ぐ。ヨーロッパ諸国の高齢者は、悠々自適の生活を楽しむ傾向にある。

5 退職者の今後の生活への見通しについては、楽観的になれない日本人の姿が浮き彫りになっている。

6 韓国との共通点は、自殺が多い。

7 認知症は現代病である。しかし、完全な予防は不可能という見方も根強い。一番の課題は、不安になる私たちの心にある。

8 認知症予防について…遺伝、加齢、性差、学歴、職歴は介入困難。生活習慣は介入可能。食事、運動、脳を使うことに介入することが大事である。

9 政治家は認知症になりやすい?…マーガレット・サッチャー:2000年頃から認知症を発症。激昂型の性格が災いしたという説もある。ジャック・シラク:フランス大統領辞任後2011年アルツハイマー病であると報道される。→ということは現職時代からその兆候があったことは否めない。

10 認知症になりやすい仕事、なりにくい仕事…①なりやすい仕事→ボクサーやフットボールプレイヤーは頻繁に大脳に衝撃を受ける。挫傷部位でアミロイドの沈着や老人斑を認める。②なりにくい仕事→(例)ロンドンのタクシー運転手:ロンドン市内は道が複雑で、運転手になるためには過酷な資格試験がある。タクシー運転手は経験年数に比例して海馬が発達するが、バス運転手はそのようなことはない。脳は鍛えれば鍛えるほどなりにくくなる。

11 修道女研究の衝撃:シスター、修道女678人を長期間追跡した。生活様式が統一しているため、病気の要因を正確に比較することが可能。→20歳代前半に単純な文章を書いていた群は80%がアルツハイマー病を発症。それに対し、複雑な文章を書いた群からは10%しか発症していない。

12 認知症の遺伝…アルツハイマー病になりやすい遺伝子は397個(2007年時点)。第19染色体にあるアポリポ蛋白EのApoE4は最強の遺伝的リスク。人種を問わず確認。

13 生活習慣:食事…野菜・果物(ビタミンC、E、βカロテン)、ワイン(ポリフェノール)、脂肪(不飽和脂肪酸)摂取は効果がある。:ワイン摂取量とアルツハイマー病の危険度→飲まないよ3,4杯飲むのとは約4倍違う。飲む方がよい。摂取頻度も飲まないのと週一回以上とでは、2倍違う。週一回以上の方がよい。:魚の摂取量とアルツハイマー病の危険度→1日あたり18.5g以上摂ると3g以下に比べ危険度は30%になる。1日1回食べるのと食べないのとは危険度は1/5になる。:不飽和脂肪酸(代表としてDHA)は脳の働きに重要。DHAは海温の低い北洋で生きる魚やアザラシに大量に含まれている。卵にもたくさん含まれている。:生活習慣…脳を鍛えるには運動しかない。高校での授業開始前に運動すると成績が向上。運動でBDNF、VGEFなど神経細胞促進物質が産生・放出される。:遊具付きかごでの飼育が脳に与える影響→アミロイドβの沈着量が4割、分解酵素の濃度が約2割上昇。:脳を使う読み聞かせも効果がある。

14 楽観できるかも…20年間に認知症が3割減少している。(英国CFAS研究)。米国フラミンガム研究では認知症が10年あたり2割減少している。ミシガン大学の研究でも有病率の減少を確認。

今回の講演で、認知症についてはあまり考えすぎない方がよいと感じた。また、認知症の状況を深く知らないと治療もできないともいう。楽観視しながらも食事に気を付け、脳を使うことを心がければよいと思った。

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