アンガーマネジメント

スポーツの世界や教育の現場で研修が行われるようになったアンガーマネジメント。アンガーマネジメントは、怒り(アンガー)の抑制ではなくマネジメントである。本田恵子氏の投稿(Sports Japan 2017/05-06)を基に整理してみたいと思う。

背景

アンガーマネジメントという考え方が日本で取り入れられるようになったのは2000年以降である。1980年代中学校や高校では校内暴力などで授業が成立しなかったり、卒業式ができない学校が少なからずありました。それが時代背景となったようです。2000年前後「すぐキレル子どもたち」への対処方法としてアンガーマネジメントは注目を集めました。その後、2005年法務省は更生保護(保護観察)などで暴力防止プログラムを組み、その中でアンガーマネジメントを取り入れるようになった。罪を犯した少年の再発防止をいかに減らすか、少年院での指導に、刑務所においては受刑者ではなく刑務官に対してアンガーマネジメントは導入されています。以後、学校や役所においての年次研修、ビジネス界においての研修に取り入れられてきている。

アンガーとは

「アンガー」とは一次的なものではなく、二次的なものであることを理解することが重要である。根底にあるのは、「〇〇したい」とか「××が欲しい」という欲求で、その欲求を満たすにあたって、ある刺激に対して様々な一次感情、例えば「悔しい」「怖い」などが心に芽生えます。そしてこのネガティブな一次感情がたまり、沸点に達すると、イライラ、もやもや、むかつく、うざい…と感情が爆発し、怒りが表面化します。すなわち、欲求がかなわないときに発生する二次感情が怒りへと変化します。一次感情の時にネガティブ感情を解決できればよいのですが、うまくいかないと沸点に達します。怒りが頂点に達したときに見られる反応はその場で凍り付いてしまう場合もありますが、多くは「不安」(固まる、諦める)または「興奮」(八つ当たり、暴言、暴力)の何れかになります。

認知を変えるだけで態度が変わる

アンガーマネジメントでは同じ方法では状況や態度が変わらないということを理解する。何かを指導するときに何度言っても聞かない場合があったとします。こんな時に「何度言ったら分かるんだ」「やる気がない」と考えたら単なるお説教になったり、一方的な指示になったりして結果的に相手は委縮してしまう。そこで、アンガーマネジメントでは、刺激(できないことに対する認知)を変えることからスタートする。つまり、相手が理解できないのは指示がうまく伝わっていないのかもしれないと考えなければならない。自分の見方や対応を変えることで、それまで変わらなかった選手の態度に変化がみられるようになるかもしれない。私たちは、相手に伝わらない場合は、「認知を変える」ことや「現実を受け止め、考え方を整理する」必要がある。

脳の働きを理解する

アンガーマネジメントの目的は3つある。1つは、「生理的反応への対応」です。これは、興奮した心の状況の鎮静化を図ることで、刺激排除や深呼吸、緊張を緩めるなどの方法がある。→気分転換、ストレス解消法の学習。2つ目は、「認知反応への対応:状況をプラスに捉える力を育てる」です。これは、状況が理解できる言葉や説明する言葉を増やすことです。そして、3つ目は、「向社会的判断力・行動力の育成:ソーシャルスキルトレーニング」です。これを身に付けることで、欲求不満同士の矛盾を解消し、向社会的な行動がとれます。

指導者がアンガーマネジメントし、前向きな姿勢を示せば、周囲の人にも確かに好影響を及ぼすと思う。しかし、異年齢や習熟度等に差がある集団に対しては一斉の指導法ではなかなか通用しない。限られた人材での中で如何に個に応じた指導・支援ができるかは工夫の余地はあるが、限度もある。私は、学校の教師の時、能力差の違う児童生徒に対し教科指導をしてきたが、かなり難しかった。また、小学生を対象としたバスケットボールの指導も同様である。今までアンガーマネジメントを含めいろいろな研修を受けてきたが、大事なことは成功事例を多く持つことだと思う。5年前、いや2~3年前とはずいぶん違う子どもの実態の中で悪戦苦闘している毎日だが、学ぶ姿勢だけは持ち続けようと思っている。理論の構築と実践は一体でなければならないことを改めて感じた。

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