「家族形態の変容と支えあう社会に向けて」-単身世帯の増加を中心にーみずほ情報総研・日本福祉大学藤森氏の講演より

2017年12月12日、麹町にて我が出身高校(諏訪清陵高校)の後輩である藤森氏の講演があった。今回はその講演内容と私見について述べる。

Ⅰ 前段

福祉国家は大きく3つに分類される。①家族依存型(日本)②政府依存型(スウェーデン型)③市場依存型(アメリカ合衆国型)がそれである。介護も同じ分類ができる。少子化や核家族型が進んできた日本は、介護は家族だけでは行うことができない時期にさしかかっている。政府がそれを担うスウェーデン型に移行することは多くの借金を抱えている日本にはできない。アメリカのような市場依存型にすると膨大なお金がかかり、一般家庭では賄えない。なぜ、アメリカでは可能かといえば、介護労働者が賃金の極めて低い移民だからだ。

日本は家族の力が弱くなっており、今、岐路に立たされている。

Ⅱ 単身世帯の増加の実態とその要因

1970年には614万世帯(5.9%)だった単身世帯は、2015年には1842万世帯(14.5%)になっており、当初の予測より5年の前倒しになっている。全世帯数に占める世帯類型別割合の推移は、1985年…単身世帯(20.8%)夫婦のみ世帯(13.7%)夫婦と子ども(40.0%)一人親と子ども(6.3%)その他(19.2%)→2015年…単身世帯(34.5%)夫婦のみ世帯(20.1%)夫婦と子ども(26.8%)一人親と子ども(8.9%)その他(9.7%)→2030年(推定)…単身世帯(36.5%)夫婦のみ世帯(21.0%)夫婦と子ども(24.1%)一人親と子ども(11.0%)その他(7.3%)と変化しており、家族の力が弱まっていることが推察される。また、男女別・年齢層別にみた単身世帯数の推移においても、男性は、20代から80代にかけて下降しているのに対し、女性は50代までは少々下降するが50代からは上昇している。男女別・年齢階層別にみた単身世帯の増加倍数は、1985年と2015年とを比較してみると男性が11倍、女性は13.7倍になっている。また、50代から60代にかけ離婚が増加するため、単身世帯の増加に拍車をかけている。ライフスタイルの変化がここでも見受けられる。50歳時点の未婚率は、男性は25%を超え、女性の15%を超えている。その原因は、①女性の社会進出②低収入③男女の出会いの場がない④結婚しなくても困らない実態が考えられる。男性の方が多い原因は、乳幼児時点における死亡率の減少にある。70代単身男性においても25.2%が未婚状態にあり、女性の11.5%の差は開くばかりである。地域で支えあう社会をどのように作るかが今後の課題になる。

Ⅲ 今後の単身世帯数の動向

平均寿命の上昇やライフスタイルの変化により単身世帯数は増加し、2030年(推定)では、男性は50代で181万人が最高で、女性は80歳以上で256万人が最高になる。今から約15年後の2030年の増加率は男性で165%、女性は101%になる。また、20歳~34歳人口でも男性過剰状態で男子は今まで以上に結婚しにくくなっている。

Ⅳ 単身世帯の増加が社会にもたらす影響

経済的困窮者の増大

貧困率とは、所得の中央値の50%以下であり、年収122万円以下が該当する。男性では単身世帯の30%、一人親と未婚子の24%が貧困といえる。女性では単身世帯の45%,一人親と未婚子の30%が貧困といえる。高年齢単身世帯が貧困に陥りやすい背景として非正規・無職・低賃金・短い就労期間+未婚・離別・死別→無年金・基礎年金のみ受給→貧困となる。また、高齢単身世帯では無年金者の比率が高く、基礎年金(国民年金)のみの比率が高い。相対的貧困率は一人親と未婚子にみが男女とも高く、非正規労働者が多い。非正規労働者は、25歳~34歳の男性でも16.5%と高く、6人に1人である。世帯類型別にみた主な介護者も家族が介護者である実態が多いことから家族が崩壊されてきた現在、地域が家族に代わって介護する仕組みを作る必要がある。生産年齢人口(15歳~64歳)は毎年鳥取県の人口分減少している。処遇改善が必須である。また、社会的に孤立する人々の増加も深刻で、近所付き合いがない単身世帯の男性は、24.3%にも上る。

Ⅴ 単身世帯の増加への対応

社会保障の機能強化や地域づくり、働き続けられる社会が喫緊の課題である。そのためには、生産年齢(15歳~64歳)の見直し、企業の定年の延長若しくは廃止、年金受給年齢を上げるなど取り組む課題は大きい。近い将来、消費税等上がるがその殆どが財政の健全化に使われる。日本の実態を考えたとき、お互いに助け合える地域づくりが今必要である。

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