地域医療と法医学

2019年6月26日、第176回清陵勉強会が開催された。今回のテーマは、「地域医療と法医学」富士見高原病院後藤氏の講演だった。後藤氏は日本全国で100名程度しかいない日本法医学会死体検案認定医でもある。以下、その要点を記す。

1 基礎医学・臨床医学と社会医学

・基礎医学:医学の基礎学問…解剖学、生理学、病理学

・臨床医学:医学的知識、技術により疾病の診断・治療、あるいは健康福祉の増進に貢献

・社会医学:医学的知識、技術により社会全体の質の向上、社会秩序の維持に貢献 社会環境の向上は健康・福祉に大きく関与 臨床医学と社会医学は表裏一体、重複

2 法医学

・医学的知識、技術をして法的秩序の維持、紛争解決の一躍を担う→(例)誰が犯人?親子関係?

・社会環境の維持・向上に大きく関与

3 変死と変死の疑い

・変死:自然死以外の死亡であり、犯罪の関与も否定できないもの

・変死の疑い:自然死・病死か外因死か不明で犯罪の可能性も不明なもの。自然死(内因死)であることが判明すれば病死体として犯罪の可能性は否定される。

・検死は、その場の御霊に対し最大限の敬意を払い、その人及び周囲の人の権威や名誉を保護するのみならず社会的な正義をも保持する。さらにこれらを周囲の人々が知ることにより、人が死ぬと医学的にも調べられる。真実が明らかにされると犯罪の抑止効果も図れる。

4 異状死体とは

病院で「病気」で死亡した以外は全て異状死体

・自宅で死亡(最終治療後24時間以内は別)

・外傷による死亡

・病院内事故

・不明な死亡

…医師は異状死体を検案したいときには24時間以内に(速やかに)所轄警察に届け出の義務がある。(医師法第21条)

5 異状死体の取り扱い

・事件性のあるもの又はその疑いが強いもの→司法解剖

・事件性の可能性が薄いもの→検案(地域によっては監察医が取り扱い、行政解剖を行うことも)…実際は警察の判断による。

6 検死:死体検案…医師が初めてみる死体を調べること

・検視(死体を含むすべての検案)の一部として変死又は変死の可能性のある死体を調べること。

・検視は裁判所検察官の管轄において行われるが、一般的にはその代行として司法警察員(主に警部補以上)が死亡原因を判断する。

・検死は検視の一部であり、医師が死体状況から司法警察員に情報を提供する。検死は検視の重要な判断材料。医師の検死により病死であると断定されると事件性は否定される。実際には、特に地方においては、医師の発言権は大きい。医師の意見によりいたずらに事件性が否定されたり、死因が歪められたりする可能性もある。

7 監察医制度と地方での検死

・監察医制度のある大都市では監察医務院で行政解剖が行われるため、一般医師が検死に携わることはない。

・地方では、一般医師が専門的知識を持ったものとして検死を行わなければならないのが現状である。しかし、それ以外の地方では一般医師が専門的知識をもったものとして検死を行わなければならないのが現状。

8 監察医制度(行政解剖)

・大都市圏の検死制度→監察医制度…東京23区、大阪、名古屋、横浜、神戸

・行政解剖に準じた制度…甲信越、四国などの地域

※かなりの格差があるといえる。

<感想>

ここではすべて述べられないが、その他法医学の必要性、地域と大都市との格差、医師の責任の重さ、診断書で事故の処罰もあること、診断書により行政処分(違反点数)が変わってくることなど少しは理解できた。また、高齢者社会を迎えて、死の問題、健康寿命、ボケ問題、医療にかかわる看護師不足の問題等現実を少しは知ることができた。

法医学関係のことは、テレビドラマで見る程度だったが、ことの重大さを改めて感じた。

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