人生の幸福度を左右するのは?

今回は、週刊文春に連載された、橘玲氏の記事をもとに感想を述べてみたいと思う。

「幸福」を定義することはできないが、そこには歴史や地域を超えた普遍的な傾向があるらしい。それは「どんなことでも慣れてしまう」ということである。

事例1:暑い夏に飲むビールはものすごく美味しい。しかし、最初の感動は2杯目、3杯目と飲み続けていくうちに失われていって、やがて惰性になっていく。このことを経済学では「限界効用逓減の法則」と呼ぶ。

事例2:配偶者の死…長い闘病の末と突然の事故死とは大きく異なるため生前の幸福の度合いを測ることはできないが、亡くなった直後は夫も妻も愛する人の死に打ちのめされる。しかし、その後、夫の幸福度は1年で急速に回復し、しばらくは悲しみを引きずるものの、4年ほどで生前のレベルに戻る。妻は、悲しみの回復は夫より穏やかだが、わずか2年で幸福度は元に戻る。離婚についても同じで、平均して男性は2年、女性は3年で立ち直る。この復元力は、足を切断するような大きな怪我の場合でも同じだという。

事例3:結婚…男女とも結婚が決まると幸福度は上がる。但し、女性は結婚の3年前に一旦幸福度は下がる。仕事や友達、自由な時間など失うものが男性より多いためだと考えられる。結婚式当日になると二人とも周りから祝福されて幸福の絶頂期を迎えるが、結婚直後から下がり始め、男女ともほぼ2年で喜びは消え、かつての日常が戻ってくる。

事例4:子どもの誕生…妻は妊娠によって幸福度は大きく上がるが、夫は殆ど影響がない。妊娠は男にとって他人事なのかもしれない。子どもが生まれた後は、夫も妻も「不幸」になるように見える。この状態は、長く続き、5歳になるころにようやく以前の水準に達する。出産によって生活の満足度が下がるのは、あきらめなければならないことが多いからだろう。妻は仕事に大きな制約を課せられるし、夫も以前と同じようには趣味や友人との交遊を楽しむことができなくなる。但し、子どもがいるからの幸せ感はある。

幸福度は人生のいろいろなイベントで同じような傾向がみられる。研究者は、これを「ひとは、それぞれの幸福の値が決まっていて、嬉しいことや悲しいことがあっても、やがては元に戻るといっている。しかし、例外もある。

事例5:失業…とりわけ男性には顕著だが、失業すると幸福度は大きく下がり、いつまで経っても回復しない。離婚や死別が一回限りの出来事なのに対して再就職するまで失業は続く。「社会の落後者」という痛みを突き付けられるなら幸福は復元できない

心理学者の調査によると、「配偶者との死別より毎日の長距離通勤の方が幸福度を下げる」という結果が出ている。「そんな馬鹿な」と思うかもしれないが、いつまでも続く痛みは逓減しないらしい。行動経済学者ニック・ポータヴィーが「幸福の計算式」で述べたものを紹介すると以下のようになる。

愛する人の死を埋め合わせるために平均していくらのお金が支払われるべきか?

配偶者の死 4300万円 子どもの死 1700円 両親の死300万円 兄弟姉妹15万円 友人120万円

結婚歴、子供の年齢、状況など様々なので一般化できないが、遺産相続で苦労している人から見れば、納得するかもしれない。

今回の記事を読んで、正直かなりショックを受けた。「幸福度」は人によって違うし、これを一般化することは困難だと思うが、今回のデーターは頭の片隅に置いておこうと思う。

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